事業承継によって経営交代するとき、必要な手続きを一人で行うことはできません。個人事業主や法人経営者を含め、必ず専門家にコンサルティングの依頼をする必要があります。

このとき、事業承継で考えるべき専門家は「税理士」「弁護士」「司法書士」の3つです。

ただ、それぞれの専門家を利用してコンサルティングを受ける場合、当然ながら費用が必要になります。このときの報酬はどれくらいが相場なのでしょうか。また、どのように専門家を使い分ければいいのでしょうか。

ここでは「事業承継でコンサルティングを受けるときの考え方」について解説していきます。

事業承継で最重要なのは税理士

大前提として、事業承継を自分だけの力で行うのは不可能になります。法人決算書を素人は作成できないので、企業経営者の全員が顧問税理士を雇っているのと同じように、事業承継のときも専門家に依頼するのです。

そうした相続や事業承継を実施するとき、最重要になるのは税理士です。つまり事業承継を検討するときは、信頼できる税理士を探す作業を最初に始めなければいけません。

事業承継を検討するとき、銀行に相談したり、相続セミナーに参加したりしている場合ではありません。節税に強い税理士を探しだし、依頼することが重要になります。

例えば株式価値1億円の会社を相続するにしても、税理士が違うだけで納税額が1,000万円以上も変わってくるのは普通です。もちろん税理士にも専門性があるため、相続に強く節税にも精通している税理士を選ぶ必要があります。

顧問税理士に依頼すると失敗する理由

なお、企業経営者であれば前述の通り全員が顧問税理士を雇っています。そのため、人によっては「いまの顧問税理士に相続・事業承継について相談すればいいのでは」と考えてしまいがちです。そうして、多くの経営者が事業承継に失敗します。

顧問税理士に依頼すると微妙なのは、その人が相続について知識が薄い可能性が高いからです。

「税金の専門家なら何でも詳しいはず」と思うかもしれませんが、実際は違います。例えば、医師は皮膚科や整形外科、眼科など専門が明確に分かれています。何でも屋の医師はおらず、医師であっても専門外の医学については知識が薄いという実態があります。

税理士についても同様であり、企業法務と相続・事業承継は完全に別分野になります。

さらにいうと、あなたの顧問税理士は節税提案をしてくれているでしょうか。実際のところ、世の中にいるほとんどの税理士は節税提案がありません。例えば、以下のような節税提案が顧問税理士からあったでしょうか。

  • 出張旅費規程を定め、非課税で法人から個人にお金を移す
  • 役員賞与や法人保険を使い、社会保険料を年間100万円以上削減する
  • 家賃の9割以上を経費にして賃貸マンションに住む

節税の基本ですが、こうしたポイントでさえ提案してくれない税理士が大多数です。当然、そうした節税策を提示してくれない顧問税理士が専門外の事業承継で優れた節税提案を示してくれることはありません。

顧問税理士に頼ると高額な贈与税や相続税に悩み、失敗するのは当然ながら理由があるのです。

都市部で活躍する専門家に依頼するべき

ただ他にも、コンサルティングを受ける税理士を探すときに失敗するケースとして「自分の近くに住んでいる税理士がいい」と考えることがあげられます。

顧問税理士であれば、確かにあなたの住んでいる近くの税理士に依頼するとメリットがあります。毎月、顧問税理士と面談することで領収書を渡し、収支報告を受ける必要があるからです。これにより、毎月の売上や利益などを計算してくれるようになります。

それに対して、相続や事業承継のときに毎月会って面談することはありません。もちろん事業承継では5年以上の期間をかけて徐々に行うのが一般的なので、時間をかけながら対策していく必要があります。ただ、企業の顧問税理士のように毎月お世話になるわけではないのです。

そうなると、「近くにいて顔を合わせて相談できる」ことはメリットではありません。それよりも、遠く離れた場所にいたとしても、相続案件に強みをもち、節税提案をたくさん示してくれる税理士に依頼したほうが圧倒的に有利です。

事業承継では小規模の中小企業でも株価1億円以上になっているのは普通です。そうした会社を事業承継する場合、贈与税や相続税は高額になるため、できるだけ無駄な税金を減らせる税理士に依頼したほうがいいのです。

事業承継での節税に強い税理士に依頼し、他の税理士に比べて例えば1,000万円の税金を低く抑えることができるのであれば、当然ながら東京など都市部で活躍する事業承継に強い税理士に依頼したほうがいいといえます。

料金相場はどうしても高くなる税理士

ただ、社長交代という大規模なイベントを問題なく遂行する必要がありますし、事業承継では株式価値の算出や節税など考えるべきポイントが多いです。そのため、税理士へコンサルティングを依頼するときは値段がそれなりに高額になると考えましょう。

中小零細企業でそこまで儲かっていない会社であっても、税理士に依頼することで100万円以上の報酬支払いが必要になるのは当然だと考えたほうがいいです。

例えば、最も安い金額で事業承継できたとしても、ザックリと以下のような費用相場になります。

  • 株式価格1億円の相続:60万円
  • 株式金額の算出:20万円
  • 顧問料:50万円

「自分の会社は株価総額が1億円もないのでは?」と考える社長は多いですが、在庫(棚卸資産)の価値を計算すると意外と高額になりやすいです。他にも不動産(土地・建物)を所有している会社であれば、その分だけ貸借対照表に反映されます。また、高額な機器類も帳簿に掲載されます。

このように積み重なっていくと、資産が大きく株式価値が1億円を超えていくのは普通なのです。

当然、先に示した税理士費用は最安値になるので、実際にはさらに金額が上乗せされるようになります。例えば、経営者交代をするときは事業承継税制という制度の利用を検討する人が多いです。贈与税や相続税の支払いなしに、実質的に無税にて事業承継できる制度となっています。

ただ事業承継税制を税理士に依頼する場合、200~300万円の報酬支払いが必要になります。高い専門性を要求されるため、これだけの高額報酬になるのです。

もちろん、贈与税や相続税の支払いを考えればトータルで圧倒的に税金を抑えることができるため、たとえ値段が高くても事業承継に強い税理士に依頼しなければいけません。

弁護士より司法書士のコンサルティング会社を選ぶべき

このように考えて、まずは都市部で活躍する「相続に強い税理士(コンサルティング会社)」を探すことを最優先しましょう。

ただ、事業承継は税理士だけで完結することはありません。必ず法的なチェックも必要になります。そうしたとき、法律の専門家として弁護士や司法書士がいます。これらの専門家については、どのように考えればいいのでしょうか。

これについては、実は事業承継のときに弁護士を活用する機会はほとんどありません。「法律の専門家=弁護士」と考えてしまいがちですが、弁護士に依頼しても無駄に費用が高額になるだけですし、相続専門で活躍している弁護士はほぼいません。

それよりも、司法書士に依頼するほうが圧倒的に多いです。法人登記や不動産登記をするときは当然ながら司法書士ですし、事業承継に関する法的なチェックも司法書士が行うケースは多いです。

「弁護士に比べて、司法書士のほうが劣るのでは」と考える経営者もいますが、司法書士の場合は相続専門で活動している人もたくさんいます。当然、専門特化して活動している人のほうが精度は高いです。例えば、司法書士であれば以下のような依頼が可能です。

  • 遺言の作成
  • 家族信託の設定
  • 相続放棄の活用

これらの手続きを弁護士が行うことはできるものの、通常は司法書士がメインで行う業務になります。同じ仕事でも弁護士より司法書士のほうが値段は安いですし、司法書士のほうが専門特化していて確かなため、相続や事業承継ではほぼ司法書士が選ばれるのです。

遺産分割で揉めて裁判にまで発展したのであれば弁護士を利用すればいいですが、単に事業承継する場面だけであれば弁護士ではなく、司法書士の利用を考えましょう。

弁護士・司法書士への報酬支払い

もちろん、税理士法人に依頼したときに費用が発生するのと同じように、弁護士・司法書士として活躍するコンサルティング会社に依頼したときも、お金がかかるようになります。

このとき司法書士へ依頼する場合、一般的な法人登記や不動産登記の場合では3~5万円の報酬になります。また、遺言作成や家族信託の設定であれば15万円以上の費用になるのが基本です。

参考までに、遺言作成を弁護士に依頼すると費用相場は1.5~2倍以上に跳ね上がります。例えば、私がいつも依頼している弁護士の場合、1時間3万円の相談料・時間給になっています。そのため、どうしても司法書士へ依頼するよりも金額が高騰すると考えましょう。

なお税理士へ支払う値段に比べると、司法書士へ支払金額は低くなります。ただ、事業承継では登記や遺言作成など行う作業がそれなりに多く、こうしたコンサルティング会社(司法書士)へ支払うべき報酬もそれなりに多くなると理解しましょう。

早めに専門家へ相談するのは必須

税理士や弁護士、司法書士などへ事業承継手続きを依頼する場合は、これまで述べた通り費用がそれなりに高くなります。そのため、こうした税理士法人や司法書士法人などのコンサルティング会社へ依頼するのをためらってしまいます。

ただ、事業承継はどれだけ短くても3年の時間をかけなければ節税できません。また、通常は5年以上の時間をかけて実施します。

このように長い時間をかけながら株価対策などの対処をしていくことで、個人事業主や法人経営者が事業承継するときに数千万円、数億円レベルでの税金対策が可能になるのです。

コンサルティング会社へ依頼しなければ無駄に時間だけが過ぎ、最適な事業承継のタイミングを逃してしまいます。また、何も対策せずに先代経営者が死亡すると後継者は高額な相続税支払いに苦しむようになり、場合によっては相続放棄しか選択肢がなくなります。

こうした状況を避けるため、早めにコンサルティング会社へ相談するようにしましょう。依頼に必要となる費用が高額になるからといって、そのまま放置しておくと、事業承継で多額の税金を課せられるようになります。依頼による節税メリットが重要になるのです。

「専門家へ依頼するのは値段が高い」とはいっても、無対策で生じる税金のほうが圧倒的に高額になります。トータルで考えれば、専門家へ依頼することで節税したほうが圧倒的に得であるため、早めの相談が必要になるのです。

そこで顧問税理士とは別に「相続・事業承継に強い税理士」を探し、その後に司法書士などの専門家を見つけるようにしましょう。

相続の節税に強い専門家のコンサルは必須

事業承継では必ず専門家に依頼する必要があり、社長交代を考えている場合は早めに事業承継手続を依頼する税理士を探すようにしましょう。

このとき、当然ながら「顧問税理士に依頼する」「事務所近くの税理士がいい」と考える経営者ほど失敗します。東京など都市部の節税に強い税理士に依頼すれば1,000万円以上の税金対策が実現できるケース」であっても、そうではない身近な税理士に依頼すると、このような対策の実現が不可能になるのです。

そこで節税提案を示してくれて、事業承継に強い都市部の専門家を探すようにしましょう。

また、同時に弁護士や司法書士などの専門家に依頼するケースもあります。これについて、正直なところ弁護士の出番はほぼないです。特別な理由がない限り、司法書士へ依頼しましょう。

これらのポイントを理解したうえで、依頼するコンサルティング会社を選定しなければいけません。個人事業主や法人経営者を含め、事業承継では企業価値が高額になりやすいからこそ、正しく節税できる専門家の力が必要になるのです。

法人・個人事業主の事業継承で、一瞬で3,500万円以上を節税する税金対策

法人や個人事業主では、いつかの時点で必ず事業承継する必要があります。このとき問題になるのは「誰にどの事業を移すのか」「節税したうえで事業譲渡する」ことに尽きます。

その中でも特に節税は重要であり、ほとんど儲かっていな事業主でも「事業価値が1億円以上」となるのは普通です。このときき、そのままの状態で生前贈与すると5,000万円以上の税金となり、事業承継がきっかけで後継者は破産します。

そこで税金対策を講じることにより、事業承継で発生する無駄な税金を抑えなければいけません。親族トラブルが起こらないように調整するのは当然として、早めの節税対策が必須になるのです。

「税金をゼロにする優遇税制」「会社価値を一気に6割減にできる法人保険」など、事業承継では無数のスキームが存在します。そこで、事業承継に特化した専門家を紹介します。これにより、高額な節税を実現しながらもスムーズな事業の引き継ぎが可能になります。

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