土地の評価は多くの税理士で間違いが頻発するため、正しく相続税評価額を算出できているかどうかを確認することは重要です。
その中でも、高圧線の通っている土地に関しての土地評価減額は見過ごされやすいです。要は、きちんと土地の評価額を減額していないため、本来よりも高額な相続税の支払いになってしまうのです。当然、こうした状況は避けなければいけません。
土地の上に高圧線があれば、建築制限があるのでその分だけ財産評価額を減らすことができるようになっています。また、既に相続税の申告をした人であっても還付が可能です。
ただ、どのように考えて土地の減額評価をすればいいのでしょうか。ここでは、上空に高圧線(電線)があるときの土地評価について解説していきます。
もくじ
土地の上空に高圧線があると制限がある
土地の相続税評価額というのは、通常だと路線価を活用します。路線価は誰でも調べることができ、地図上で明確に確認できます。
例えば、以下のように路線価が出されています。
例えば路線価10万円の場合、200m2の土地なら「10万円(路線価) × 200m2 = 2,000万円」が土地の評価額になります。
ただ、土地の中には上空に高圧線が通っていることがあります。分かりやすい例でいうと、以下のようなごつい鉄塔にある電線が高圧線になります。
電線には種類があります。普通の住宅地にある電線は低圧電線ですが、同時に高圧線も多くの場所にかかっているのです。
このとき重要なのは、高圧線の周辺については建物の建築制限があることです。自由に建築することができず、利便性が非常に低くなっています。そのため、高圧線の下にある土地については相続税評価額を下落できるようになっています。
高圧線下の土地は路線価よりも評価が下がる
それでは、どれくらい土地評価額を下げることができるのでしょうか。7,000ボルトを超える場合は高圧線と呼ばれるようになりますが、高圧線とはいっても電圧が電線ごとに異なります。
この中でも、17万ボルトを超える高圧線については「高圧線の外側3m以内について、建築物を建てられない」ようになっています。そのため、送電線から3m以上の距離を置かなければいけません。
また17万ボルトを超えていなかったとしても、高圧線の下にある土地では建築制限があります。高さに制限があり、高圧線の最も低い場所から3m以上の距離がなければいけないとされています。そのため、高い建築物を建てることはできません。
このような制限があり、相続税評価額はそれぞれ以下のように減額できます。
- 建築がまったくできない:土地評価の50%を減額
- 建物の構造や用途に制限がある:土地評価の30%を減額
つまり、高圧線下の土地は最低でも土地の評価額が30%減になることが分かります。また高圧線の種類によっては、土地の値段が半減します。
地役権の登記や電力会社との契約で確認
それでは、どのようにして高圧線と土地との関係を調査するのでしょうか。これについては、電力会社と土地保有者との間で地役権の設定をするのが一般的です。
地役権については、登記されています。土地など、不動産は誰の所有者であるか必ず登記されることになりますが、地役権についても登記されるため確認できるようになっているのです。登記の内容を見れば、「建物の建築制限」など地役権が及ぶ範囲について把握できます。
ただ、場合によっては地役権の設定をしていないケースがあります。この場合、電力会社と契約を結んでいるだけの状態になっているため、契約書の確認をすることで内容を把握できるようになります。
しかし実際のところ、契約書を紛失してどこにあるのか不明であることは多いです。その場合、電力会社に確認することで契約内容を把握できるようになります。
もちろんあなたが確認する必要はなく、相続・不動産の両方に精通している税理士であれば、税理士が代わりに電力会社と連絡を取って確認してくれるようになります。
確認をしないと評価減のミスは起こりやすい
このとき、高圧線は土地の評価ミスが多発しやすい項目の一つになっています。つまり、相続・不動産の両方に精通していない税理士に依頼した場合、何百万円も税金を払い過ぎるようになるのです。
まず土地の評価をするとき、依頼した専門家が現地に出向き、土地の確認をしているでしょうか。これをしていない、高確率で相続税の払い過ぎが起こります。
例えば高圧線であれば、現地を確認することで「土地の上に高圧線が通っている」ことを目で見ることができます。地役権の登記がある場合は現地確認しなくても把握できますが、契約書だけを結んでいる状態だと、見逃してしまうことがほとんどです。
また高圧線が通っていることを地役権の登記内容で確認したとしても、何も考えずに「30%の評価減で計算する税理士」は多いです。電力会社に高圧線の電圧を確認せず、50%ではなく30%の評価減で済ませてしまうのです。
こうして、「通常よりも土地の相続税評価額が高くなってしまう」と考えるようにしましょう。
相続税の計算ミスが最も起こるのが土地評価です。税理士の知識不足によって土地の値段を高く見積もってしまうことは非常に多いため、依頼する税理士は非常に重要だといえます。
相続税還付も高圧線では重要
ただ、中には既に相続税の申告を終えた人もいます。そうしたケースだと、相続税還付を検討するようにしましょう。要は、払い過ぎた税金を取り戻すようにするのです。
上空に高圧線があれば、それだけで大幅な相続税の減額ができます。そこで相続・不動産の両方に精通した税理士に依頼し、現地調査のうえで本来の土地評価額に計算し直し、税金の払い過ぎを是正するようにしましょう。
例えば、高圧線によって「建物を建てられない土地」があるとします。この場合、前述の通り電線の周囲3mは建築できません。例えば以下のような場合、8mもの土地で建築制限があることになります(電線の上下幅が2mのとき)。
高圧線がかかっている土地ついては、このように考えると意外と広い範囲の部分が減額の対象になります。
建築できない土地は50%の減額が可能です。仮に対象の土地(建築できない土地)の面積が200m2であり、路線価が10万円であれば、以下の金額だけ評価額を減額できます。
- 10万円(路線価) × 200m2(建築できない土地面積) × 50% = 1,000万円
これだけの相続税評価額を減らせるため、税金を何百万円も取り戻すことが可能になっています。本来なら最初から正しい税金計算をするべきですが、税理士がダメなことによる税金の払い過ぎは頻繁に起こります。そこで、還付まで検討するといいです。
区分地上権でトンネル・地下鉄の上でも減額できる
なお、多くの人に当てはまりやすいのが高圧線であるため、高圧線で事例を出してきました。これら地役権の登記や電力会社との契約を含め、他人の土地の空中に何か作る場合、許可が必要になります。このような、空間に対する権利を区分地上権といいます。
ただ区分地上権というのは、空中に限らず地下にも存在します。
田舎だと関係ないですが、東京や大阪などの都市部だと地下鉄が発達しています。つまり、家の地下にトンネルがあり、そこを地下鉄が通っていることはよくあります。
地下鉄などのトンネルについても、高圧線と同じように土地の評価額を減額できるようになっています。そのため、東京を含め地下にトンネルがあるかどうかを確認することで、相続税を大幅に減額できることはよくあります。
このとき、土地評価額の30%減が可能です。つまり、「高圧線によって建築物の高さ制限のある土地」と同じだけ、相続税評価額を減額できると考えましょう。
高圧線・地下鉄での区分地上権による土地評価を学ぶ
税金を減らすことを考えたとき、区分地上権は非常に重要です。空中・地下に電力会社や鉄道会社の建築物がないかを確認しなければいけません。
こうした高圧線やトンネルが土地に関与しているとき、対象の土地については無条件で30%の減額が可能です。また、より電圧の高い高圧線が通っている場合、建築物を作ることができないので土地評価は50%に落とすことができます。
特に高圧線で起こりやすいですが、重要なのは「現場を確認しなければ見落としが頻繁に発生する」という事実です。土地の評価減をせず、税額を計算することがよくあるのです。
ダメな税理士ほど、路線価をもとに書類上だけで土地の評価金額を計算します。そうして相続税が無駄に高額になるため、その場合は相続を依頼する税理士を変更するようにしましょう。既に相続税の申告が終わっている場合は還付になりますが、いずれにしても土地の計算方法をやり直すことで税額が大きく変わるようになります。
土地を相続しており、既に相続税の申告が終わった後は「相続税の還付」を考えましょう。実際のところ、ほとんどの人で相続税の計算ミスがあり、高額な税金を支払っているからです。
「相続税還付=土地評価の計算ミス」といえるほど、土地の評価方法は難しく、土地評価には何百もの計算方法があります。それをすべて試し、最も低い税額を採用しなければいけません。ただ相続と不動産の両方に精通している専門家は圧倒的に少なく、結果として高額な税金支払いが発生するようになります。
そうしたとき、「担当税理士があなたの土地に出向き、現地調査をしていない」というケースだと、ほぼ相続税の払い過ぎが発生していると考えましょう。また、「相続専門でない専門家へ依頼した」「地方の専門家を利用した」などのケースも高額な相続税還付が可能になります。
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