土地の評価方法はさまざまであり、いくつかの減額要素があります。そうしたとき、発掘すれば遺跡の出てくる土地は大きく評価額を下げることが可能です。
発掘すれば遺跡の出てくる土地については、埋蔵文化財包蔵地と呼ばれます。埋蔵文化財包蔵地かどうかについて、依頼する税理士が見逃していれば、その分だけ相続税が高額になると考えましょう。そのため、依頼する専門家は非常に重要です。
また、相続税申告が終わっている人であっても埋蔵文化財包蔵地であるなら還付が可能です。税金を取り戻すことができるのです。
そこで、どのように考えて埋蔵文化財包蔵地の土地の相続税評価額を出せばいいのか解説していきます。
もくじ
文化財の埋まる土地が日本に存在する
日本には、発掘すれば遺跡の出てくる土地が存在します。例えば京都や奈良では、そこら辺にいくつもの遺跡が存在するため、街全体が埋蔵文化財包蔵地に該当するようになります。土器が地下から発掘されるなど、文化財の埋まる土地が埋蔵文化財包蔵地です。
周囲は普通の住宅地であったとしても、埋蔵文化財包蔵地に指定されていることはよくあります。
こうした土地の場合、発掘調査が必要になります。発掘調査の費用は自治体が負担してくれるわけではなく、個人が負担しなければいけません。以下のように、実際に発掘調査を依頼して調査するようになるのです。
しかも、調査費用はそれなりに高額になります。そうしたとき、本来の土地評価額から土器の発掘費用などの調査費用を減額できるようになっています。具体的には、調査費用の80%を減額できます。
例えば調査費用が1,000万円だった場合、800万円ほど土地の相続税評価額を減額できるようになっています。埋蔵文化財包蔵地だと、それだけ高額な土地の評価減が可能になるのです。
土器発掘調査が確定的だと減額可能
当然ながら、京都や奈良に限らず多くの地域で遺跡が発掘されています。あなたの周囲で「土器が見つかったため、工事がストップした」という話を聞いたことがあるなら、埋蔵文化財包蔵地の該当土地である可能性があります。
それでは、どのようなときであっても減額か可能かというと、そういうわけではありません。まず、「土器などの文化財が埋まっている土地である」と確定していることが必要です。
「埋蔵文化財が埋まっているかもしれない」という未確定の段階では、土地の評価額を減額できないと考えるようにしましょう。
そのため「過去の調査で遺跡がある」と明確に分かっていたり、市役所で「対象の場所に文化財が眠っている」という報告書を探したりして、確実に調査費用が必要だと分かったときに相続税評価額を減らすことができます。
既に開発している場合は関係ない
なお、このように発掘調査をする前であれば必要なお金について相続税評価額から減額することができます。ただ、既に発掘調査費用が支払われている場合、評価減をすることはできません。
例えば、以下のような土地があるとします。
土地開発をするため、過去に調査をしたところ土地全体に文化財が眠っていることが判明しているとします。そうしたとき、Aの部分だけ賃貸マンションを建ててBの地域については駐車場などに活用することで放置することにしました。
その場合、Aについては既に土地開発が終わっているので評価減は無理であるものの、Bについては土地の評価減が可能になります。
発掘調査が終わり、費用を既に支払っている場合であれば他の土地と同じように考えることができます。好きに建物を建てて問題ないからです。そのため節税という意味では、近い将来に相続が発生すると分かっている場合、埋蔵文化財包蔵地の調査発掘を早めにしないほうが無駄な税金を減らすことができます。
埋蔵文化財包蔵地の調べ方
それでは、どのようにして「自分の土地が埋蔵文化財包蔵地かどうか」を調べればいいのでしょうか。これについて、市役所で確認すれば確実ですがインターネット上で調べることもできます。
それぞれの自治体が埋蔵文化財包蔵地についてデータを公表しているため、それにアクセスするようにしましょう。このときは「〇〇 遺跡地図」のように、あなたが調べたい地名を入力するといいです。例えば東京であれば、以下のように遺跡地図を閲覧できます。
このように東京であっても、非常に多くの地域で埋蔵文化財包蔵地に指定されていることが分かります。京都や奈良ではほとんどの土地で文化財が眠っていることは誰でも想像できるものの、東京ですらこのような状況のため、あなたの土地も同じように引っかかっている可能性があります。
当然、埋蔵文化財包蔵地であればその分だけ土地の評価額を下落できるようになります。
試掘は1日ほどで終わる
このとき、土地に文化財が眠っているかどうかの調査については試掘(遺跡があるかどうかの確認)をしなければいけません。
試掘については1日ほどで終わります。また教育委員会が実施するため、試掘費用についてはあなたが負担する必要はありません。本調査の費用は負担しなければいけないものの、発掘費用が必要かどうかを確認するだけなら公費負担になるのです。
そのため特に難しく考えることなく、まずは試掘を依頼すれば問題ありません。
もちろん、埋蔵文化財包蔵地であることを確認したうえで試掘する必要があります。ただ遺跡がある可能性があり、実際に試掘して文化財が眠っていると判明した場合、その分だけ相続税評価額を下げることができます。
土地評価で遺跡の減額は見逃されやすい
依頼する税理士が違えば、支払う相続税の金額がまったく違ったものになります。これは、税金の計算方法にはいくつものやり方があるからです。
その中でも、特に間違いが頻発するのが土地評価です。税金計算ミスの99%は土地で起こっており、土地の評価方法は無数に存在するからなのです。そうしたとき、埋蔵文化財包蔵地を見逃して税金計算する税理士は非常に多いです。
本来であれば、発掘調査費用の分だけ土地の評価額を減額できたにも関わらず、路線価を活用して自動的に土地費用を算出する税理士がほとんどです。こうして、本来よりも高額な税金支払いが発生します。
そのため、相続・不動産の両方に精通した税理士に依頼しなければいけません。もし、あなたの土地が埋蔵文化財包蔵地の対象になっており、税理士がこれについて見逃している場合、いますぐ税理士を変えるようにしましょう。これだけで、何百万円も税額が変わってくるようになります。
文化財がある場合、還付が可能
ただ、中には既に相続税の申告を終えている人もいます。その場合、相続税還付を検討するようにしましょう。
払い過ぎた税金を取り戻す方法が還付です。土地評価のとき、埋蔵文化財包蔵地の可能性があるにも関わらず、税理士の知識不足のために評価減をしていなかったというケースは多いです。そうしたとき、相続税還付が後でも可能です。
土地の評価額は高額になりやすいですし、実際の発掘調査についても高い金額になります。この調査費用の80%について減額可能であるため、200~300万円以上のお金が戻ってくるのは珍しいことではありません。
還付については成果報酬で実施してくれるケースがほとんどであり、依頼しないほうが損をします。そのため、相続税申告を終えた人であっても諦めずにお金を取り戻すことを考えましょう。
発掘調査費用の減額で土地評価を下げる
土地の評価は最も間違いが起こりやすいです。多くの税理士は路線価を活用し、単純計算によって土地の金額を算出します。そうして、税金の計算ミスが起こります。
本来、問題のない完ぺきな土地は少ないです。形が変であったり、騒音問題があったり何かしらの減額要素を抱えています。こうした減額要素の一つに埋蔵文化財包蔵地があります。閑静な住宅街で正方形に近い平らな土地であっても、地下に文化財が眠っていることはよくあります。
そうしたとき、調査費用の分だけ土地の評価額を減額することができます。これらの費用を自己負担しなければいけないからです。
周囲で遺跡の発掘調査が行われている事例がある場合、あなたの土地も埋蔵文化財包蔵地に指定されているかもしれません。または、調べてみると埋蔵文化財包蔵地の対象であることはよくあります。少しでも心当たりがある場合、普通の専門家ではなく、相続・不動産の両方に精通した税理士に依頼して税金を少なくするように調節しましょう。
土地を相続しており、既に相続税の申告が終わった後は「相続税の還付」を考えましょう。実際のところ、ほとんどの人で相続税の計算ミスがあり、高額な税金を支払っているからです。
「相続税還付=土地評価の計算ミス」といえるほど、土地の評価方法は難しく、土地評価には何百もの計算方法があります。それをすべて試し、最も低い税額を採用しなければいけません。ただ相続と不動産の両方に精通している専門家は圧倒的に少なく、結果として高額な税金支払いが発生するようになります。
そうしたとき、「担当税理士があなたの土地に出向き、現地調査をしていない」というケースだと、ほぼ相続税の払い過ぎが発生していると考えましょう。また、「相続専門でない専門家へ依頼した」「地方の専門家を利用した」などのケースも高額な相続税還付が可能になります。
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